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これも偏えに先生の御陰と、代表者が心ばかりのお金を包んで先生を 江戸の邸に訪れました。しかし先生は、それをどうしても受け取りません。 漁夫は困った揚句、金包を置いて立ち去ろうと致しますので、先生は 「それ程迄に言われるなら」といって快く受取り、それをすぐにまた返して 「お前達が道ならぬことをしたのも、つまり貧乏なからだ。 これは国へ帰って御代官にでも預けなさい。 そして利息を積み上げ、不漁の日でも続いて困った時の備えにするよう」 と言って渡されました。 漁夫達はないと思った一命は助けられ、人の道を教えられ、その上厚い情をかけられて 先生を神様の再来と感泣し、涙ふきふき国へ帰り御恩報じを誓いました。 |