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もともと絵を書くことは好きです。その好きな絵をかいて、
目の前に迫っている難儀を切り抜けるほかはないと固く決心した先生はそれからというものは、
ほとんど一日おきの徹夜という猛勉強をいたしました。
「見よや春大地も亨す地蟲さへ」
腕は見る見るうちに上って、師匠の谷文晁先生さえ、驚く程の上達振りでありました。
だが備前侯の辱しめが鞭打って、もう一段と腕を磨きたいという熱心から、
当時新しい学問や絵の中心であった長崎へ、こっそり走ろうと決心いたしました。
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