田原市館渥美郷土資料館◎平成26年企画展◎生誕250年

神様になった伊良湖の歌人 糟谷磯丸 -まじない歌の世界-

開催日 平成26年10月25日(土)〜平成26年12月7日(日)  
開館時間 午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで) 展示情報詳細はこちら
会場 渥美郷土資料館企画展示室、1階ロビーほか

展示作品リスト

和歌との出会い
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
1 1 糟谷磯丸肖像 君升田村彦筆 天保8(1837)年 74歳 1 個人  
2 1 夏ころも歌 1 渥美郷土資料館 歌碑揮毫原本
3 316 月前琴 井本常蔭筆 短冊 1 渥美郷土資料館  
4   花 井本常蔭筆 短冊 1 御厨野文庫  
5 254 ひはり 林織江筆 短冊 1 御厨野文庫  
6 255 伊良古之記 林織江筆 文化元(1804)年 41歳 冊子 1

個人

 
7   芝山持豊歌 短冊 1

御厨野文庫

 
8   山国豊歌芝 短冊 1

御厨野文庫

 
9   芝山国典歌 橘 短冊 1

御厨野文庫

 
神様となった磯丸
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
10 102 をしまれて歌(辞世句) 嘉永元(1848)年 85歳 1 個人  
11 287 旧伊良湖神社境内図 明治39(1906)年 1 個人  
12 274 糟谷磯丸陶像 尾州焼物師常滑小三郎造 弘化2(1845))年 82歳 陶器 1 個人  
13 310 我像をうつしおくとて 弘化3(1846)年 83歳 一枚物 1 渥美郷土資料館  
14 272 磯丸霊神証書 神祇管領長上家 嘉永3(1850)年 没後 一枚物 1 個人  
15 269 愛用品 木棒 1 個人  
伊良湖村の大火
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
16 108 火のわざはひにのがれしことをよろこびて 1 個人  
17 292 火除歌 天保14(1843)年 80歳 1 渥美郷土資料館  
18   「伊良湖村の大火」イラスト原画 水野梅子画 平成26(2014)年 2 個人  
19   広報 たはら 10月1日号 特集 生誕250年
神様になった伊良湖の歌人 糟谷磯丸
平成26(2014)年 1 田原市  
20   「作手村の虫除歌」イラスト原画 水野梅子画 平成26(2014)年 3 個人  
まじない歌
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
21 9 家内安全歌家内安全歌 弘化2(1845)年 82歳 1 渥美郷土資料館  
22 11 寄松祝歌 寄松祝歌 天保13(1842)年 79歳 1 渥美郷土資料館  
23   寄鶴亀いはひ歌寄鶴亀いはひ歌 天保15(1844)年 81歳 1 個人  
24 12 出生祝歌出生祝歌 天保11(1840)年 77歳 1 渥美郷土資料館  
25 14 子孫をいはひて歌子孫をいはひて歌 弘化2(1845)年 82歳 1 磯丸顕彰会  
26 25 世次の子のできる歌世次の子のできる歌 弘化3(1846)年 83歳 1 渥美郷土資料館  
27 19 船中安全歌船中安全歌 天保15(1844)年 81歳 1 渥美郷土資料館  
28 30 病の治る歌病の治る歌 弘化5(1848)年 85歳 1 渥美郷土資料館  
29   疱瘡かるき歌疱瘡かるき歌 弘化4(1847)年 84歳 1 個人  
30   はのいたみの治るうたはのいたみの治るうた 弘化4(1847)年 84歳 1 個人  
31   できものの治る歌できものの治る歌 1 個人  
32 31 風の病よけの歌風の病よけの歌 1 渥美郷土資料館  
33 39 かんの虫の治る歌かんの虫の治る歌 天保14(1843)年 80歳 1 渥美郷土資料館  
34 32 しやく治る歌しやく治る歌 天保15(1844)年 81歳 1 渥美郷土資料館  
35 38 ながちしらちの治る歌 1 渥美郷土資料館  
36   火難除歌 弘化2(1845)年 82歳 1 個人  
37 16 鼠除歌 弘化2(1845)年 82歳 1 渥美郷土資料館  
38 17 虫除歌 弘化3(1846)年 83歳 1 渥美郷土資料館  
39 22 水のすめる歌 弘化3(1846)年 83歳 1 渥美郷土資料館  
40   井戸の水のます歌 弘化3(1846)年 83歳 1 個人  
41 44 さんたつといふけだもの家にやどるとて歌 1 渥美郷土資料館  
42   おごりの落る歌 弘化3(1846)年 83歳 1 渥美郷土資料館  
43   出世のできる歌 天保14(1843)年 80歳 1 個人  
44 298 病の治る歌 天保14(1843)年 80歳 一枚物 1 渥美郷土資料館  
45 300 疱瘡かるき歌 天保14(1843)年 80歳 一枚物 1 渥美郷土資料館  
46 303 できもの治る歌 天保14(1843)年 82歳 一枚物 1 渥美郷土資料館  
47 301 かさの病の治る歌 天保14(1843)年 80歳 一枚物 1 渥美郷土資料館  
48 302 たむしの治る歌 弘化2(1845)年 82歳 一枚物 1 渥美郷土資料館  
49 295 盗(雷)除 天保14(1843)年 80歳 一枚物 1 渥美郷土資料館  
50   おごりの落る歌 こしより下の病の治る歌 霜やけの治る歌 巻子 1 個人  
51   水神宮歌碑拓本 弘化3(1846)年 83歳 巻子 1 個人  
52 125 風邪除歌 短冊 1 渥美郷土資料館  
53 311 なまずといふもの治る歌 短冊 1 渥美郷土資料館  
教訓歌
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
54 45 柳の歌 天保11(1840)年 77歳 1 御厨野文庫  
55   心の歌 弘化2(1845)年 82歳 1 個人  
56 60 人を鏡とすといふことを歌 1 御厨野文庫  
57 53 金の亡者の歌 1 御厨野文庫  
58 57 君臣の歌 天保14(1843)年 80歳 1 渥美郷土資料館  
59 61 地獄の歌 1

渥美郷土資料館

 
60 67 人はただ、さびやすきの歌 1

渥美郷土資料館

 
61 128 柳の歌 短冊 1

渥美郷土資料館

 
敬神佛歌
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
62 69 神祇 うけえたる歌 天保12(1841)年 77歳 1 渥美郷土資料館  
63   なまずといふもの治る歌 天保14(1843)年 80歳 1 個人  
64 304 神祇 たゆみなく歌 1 渥美郷土資料館  
65 305 神鏡 みがけただ歌 弘化3(1846)年 83歳 1 渥美郷土資料館  
66 82 寄風祝歌 1 渥美郷土資料館  
67   民は骨の歌 嘉永元(1848)年 85歳 1

個人

 
68 84 阿弥陀佛十句和讃 1

御厨野文庫

 
69 85 釈迦如来八相記和讃 1

御厨野文庫

展示替
70 80 八幡大神・天照皇太神・春日大明神 1

渥美郷土資料館

 
遊戯歌
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
71 121 八重だすき ひさかたの歌 文政10(1827)年 64歳 1 渥美郷土資料館  
72 124 八重だすき かみなづき歌

1 個人  
73   八重だすき あみだぶつ歌  1 個人  
74   八重だすき たいひそむ歌 1 個人  
75   八重だすき やくしぶつ歌 1 個人  
76 119 折込歌 なむあみだぶつ歌 天保13(1842)年 79歳 1

渥美郷土資料館

 
述懐歌
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
77 111 秋旅行の歌  天保12(1841)年 78歳 1 渥美郷土資料館  
78   例ならざるとて歌 天保13(1842)年

79歳

1 個人  
79   富士山の歌 弘化2(1845)年 82歳 1 個人  
80   寄貝述懐歌 天保15(1844)年 81歳 1 個人  
81   雪山の歌 弘化2(1845)年 82歳 1 個人  
82   立春の歌  嘉永元(1848)年 85歳 1

個人

 
83   松間冬月の歌 1

個人

 
84   いかでかく歌ほか6首 1

個人

 
85 313 鶯の声を聞て詠む歌 短冊 1

渥美郷土資料館

 
86 308 よる波を歌 1

渥美郷土資料館

 
87   笠送りて詠む歌 天保15(1844)年 81歳 1

個人

 
88 312 親の齢をのぶる歌 短冊 1

渥美郷土資料館

 
新古今調歌
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
89 307 ふきあげよ歌 弘化3(1846)年 83歳 1 渥美郷土資料館  
90   春の歌 天保12(1841)年

78歳

1 個人  
91   元朝の歌 天保12(1841)年 78歳 1 個人  
92 315 川蛍の歌 短冊 1 渥美郷土資料館  
詠草
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
93 208 草枕夢路の名残 文化14(1817)年 54歳 冊子 1 個人  
94 209 泉の水 文化14(1817)年

54歳

冊子 1 個人  
95 210 芝山国豊公御點 詠草 文政2(1819)年 56歳 冊子 1 個人  
96 211 有馬の家つと 文政7(1824)年 61歳 冊子 1 個人  
97 230 都の家つと 天保10(1839)年 76歳 冊子 1 個人  
98 205 詠草 大崎の御館にて 天保12(1841)年 78歳 冊子 1 個人  
顕彰品
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
99 317 歌聖磯丸翁之像 中田恭一筆 昭和11(1936)年 没後

1 渥美郷土資料館  
100 320 壁掛け額 寿 七十八翁磯丸

没後

1 渥美郷土資料館  
101 318 歌仙磯丸肖像 雪鴻筆 昭和8(1933)年 没後 1 渥美郷土資料館  
102   歌仙磯丸漢詩 雪鴻筆 昭和8(1933)年 没後 陶器 1 個人  
103 275 磯丸陶像 源方寿造 明治30(1897)年 没後 陶器 1 個人  
104 276 磯丸陶像 雪鴻の箱書入 昭和9(1934)年 没後 陶器 2 渥美郷土資料館  
105 323 磯丸陶像 没後 陶器 2 渥美郷土資料館  
106 277 磯丸茶碗 浜千鳥の歌入 没後 陶器 1 渥美郷土資料館  
107 278 磯丸茶碗 あら磯の歌入 没後 陶器 1 渥美郷土資料館  
108 321 磯丸茶碗 桜花の歌入 陶器 1 渥美郷土資料館  
109 322 磯丸茶碗 身をせむるの歌入 没後 陶器 1 渥美郷土資料館  
110   磯丸茶碗 よしさらばの歌入 没後 陶器 1 渥美郷土資料館  
111 279 磯丸香合 たのもしなの歌入 没後 陶器 1 渥美郷土資料館  
112   磯丸香合 家内安全歌入 没後 陶器 1 渥美郷土資料館  
113   磯丸水指 あらいそにの歌入 没後 陶器 1 渥美郷土資料館  
114   磯丸歌(をしまれて・辞世句)入り手ぬぐい 没後   1 渥美郷土資料館  
115 319 「磯菜かご」  木下尚江選  昭和13(1938)年 没後 冊子 1 渥美郷土資料館  
市内に残された磯丸作品
No. 図録掲載 資料名 年代 年齢 形状 点数 所蔵者 備考
116   家内安全歌 天保15(1844)年 81歳 1 個人  
117   できもの治る歌 弘化4(1847)年

84歳

1 個人  
118   できもの治る歌 弘化3(1846)年 83歳 1 個人  
119   神祇 うけえたる歌 1 個人  
120   芝山国豊公和歌「鴬有慶音」 中野氏庭の松を見て詠む歌 天保15(1844)年 81歳 1 個人  
121   新宝を祝ひて歌 1 個人  
122   磯丸翁の御像を賜りて詠む歌 天保9(1838)年 75歳 1 個人  
123   新宝を祝ひて歌 天保15(1844)年 81歳 一枚物 1 個人  
124   夜泣きの治る歌 一枚物 1 個人  
125   朝顔の花を見て詠む歌 1 個人  
126   別れを惜しむ歌 一枚物 1 個人  
127   ふる里へかへるとて歌 天保15(1844)年 81歳 一枚物 1 個人  
128   岐王といふ影をとりて詠む歌ほか 天保13(1842)年 79歳 一枚物 1 個人  
129   鏡屋といふ家の名によせて詠む歌 天保13(1842)年 79歳 一枚物 1 個人  
130   わけゆけば歌 短冊 1 個人  

※、展示を変更する場合がございます。また展示室は作品保護のため、照明を落としてありま期間中す。ご了承ください 。

作者の略歴

糟谷磯丸 明和元年(1764)〜嘉永元年(1848)

糟谷磯丸は、江戸時代、明和元(1764)年5月3日に現在の伊良湖町で漁師の家の長男として生まれました。31歳で父を亡くし、母は長い間病気でした。親孝行の磯丸は、母の病気が治るように3年間近くの伊良湖神社に毎日お参りをし、そのかいあってやがて母の病気は良くなりました。磯丸が和歌に興味を持ったのは、ちょうどこの頃で、伊良湖神社にお参りする旅人たちが歌を口ずさむのを聞き、その短い言葉の中に不思議な魅力を感じたためでした。磯丸は、もともと漁師で文字を書くことができませんでしたが、努力し歌を作るようになりなりました。そして現在の亀山町に住んでいた大垣新田藩の役人、に文字や和歌の教えを受け、「磯丸」という名前をもらいました。
その後、吉田(現在の豊橋市)の女性の歌人、が伊良湖へ旅をしたときに磯丸が世話をしたのがきっかけとなり、織江の先生であった京都のの弟子になり、「貞良」の名前をもらい、ますます歌がうまくなっていきました。

磯丸は旅が好きで、三河各地をはじめ、南信州、静岡、遠くは京都、伊勢、尾張、江戸なども旅をしています。また、田原の殿様に呼ばれ、田原城の月見の会で歌を詠んだり、天保4(1833)年には、同じ時代を生きた渡辺崋山に面会したこともありました。

磯丸は、一生のうちにたくさんの歌を作りました。中でも「まじない歌」は、当時の人々の暮らし向きや磯丸の人がらがよく表れています。磯丸が詠んだまじない歌は、人々の願いや困りごとなどを誠心誠意、心を込めて歌にしたものです。磯丸に歌を詠んでもらい、その歌を石碑にしたり、掛軸にして床の間に掛けると、不思議とその願いがかなったのです。磯丸は、その行く先々で歌を詠んでほしいと頼まれ、断ることもなく、それぞれの願いを歌にしていきました。

老若男女、身分、貧富を越えて、多くの人々に愛された磯丸は、嘉永元(1848)年、生まれた日と同じ5月3日に85歳で伊良湖の地で亡くなりました。

磯丸を慕う人々は神様としてお祀りすることを願い出、それが許され「」の名前をもらいました。神様となった磯丸のために伊良湖の人たちは、「磯丸霊神の祠」をつくりました。この祠は、現在、伊良湖神社境内に「糟谷磯丸旧里」の石碑とともにあります。

作品画像

↑ページTOPへ