渥美半島に展開する中世の窯業地を「渥美窯」と呼んでいます。しかし、その名が知られるようになったのは最近のことで、六古窯と呼ばれる瀬戸焼・常滑焼・越前焼・信楽焼・丹波焼・備前焼に属さない不明の不思議な焼き物「黒い壺」が、渥美半島がその産地だと判明したのは昭和39年のことでした。

研究が進むにつれて、平泉・鎌倉を代表とする都市をはじめ、各地で造営される経塚や墓地に渥美窯製品が多く使用され、渥美窯は他の中世窯に抜きん出る技術や流通網を持っていることが明らかになりました。また、歴史上、重要な価値もさることながら、製品の美術的な価値の評価も高まってきたところです。このように、日本の窯業の歴史、これまで他の中世陶器産地の付属資料として扱われ、また包括的な名品展で資料が展示されるのみで、渥美窯をテーマに扱った大規模な展覧会は30年以上開催されていません。

今回、これまでの研究成果の集大成として、渥美窯の代表作品、経塚・墓関係資料、生産地の様子がわかる窯からの出土資料を展示し、渥美窯の歴史・美術的価値すべてを網羅する展示を行うものです。

関連事業

記念講演会

11月10日(日) 午後1時30分~3時
「日本美の源流― 国宝・秋草文壺の魅力に迫る」
学習院大学教授 荒川正明氏 会場/崋山会館
「座談会 渥美窯を語る」午後4時終了

展示解説

10月19日(土) 午後1時~(文化財課学芸員)
10月20日(日) 午前10時~(文化財課学芸員) 要観覧料

ワークショップ

10月20日(日) 午後1時30分~3時
「渥美焼のデザイン(押印文)」を写し取ろう
会場/吉胡貝塚資料館 定員/20名 参加費/100円
お問い合せ及びお申込み/TEL 0531-22-8060

考古学シンポジウム

11月2日(土) 午前10時~午後4時
「渥美窯編年の再構築」共催/東海土器研究会
会場/崋山会館 先着140名 入場無料

見学ツアー

11月3日(日) 午前10時~午後4時
「渥美窯のふるさとを巡る」
参加費/無料 定員/45人(応募多数の場合は抽選)
申込期間/10月1日~10月20日 申込先/田原市博物館

【その他の主な出品物】
普門寺経塚出土品(重文・普門寺蔵)、小町塚経塚出土品(重文・重美・東京国 立博物館蔵・名古屋市博物館蔵)、顕長銘入短頸壺(山梨県指定・個人蔵)、国指 定史跡永福寺跡内経塚出土品(神奈川県指定・鎌倉国宝館蔵)、ざれ歌の碗
(田原市指定)、伊良湖東大寺瓦窯跡出土品(田原市指定)、鳳来寺鏡岩下遺 跡出土品、国指定史跡大アラコ古窯出土品はじめ国宝2件 重文7件 県・ 市町村指定14件 約150件を展示