田原市博物館・田原市渥美郷土資料館|平成23年 春の企画展

漁夫歌人 糟谷磯丸展

2011年5月21日(土)〜7月10日(日)

会場 田原市博物館、渥美郷土資料館
休館日 毎週月曜日
開館時間 午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料 一般400円(320円) 小・中学生は無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
※渥美郷土資料館は無料
主催 田原市博物館
後援 糟谷磯丸顕彰会、愛知県教育委員会
展示作品 田原市博物館:展示作品リスト
渥美郷土資料館:展示作品リスト

糟谷磯丸は、渥美半島の先端伊良湖村に明和元(1764)年5月3日に生まれ、嘉永元(1848)年5月3日に85歳の生涯を終えた漁夫歌人です。

磯丸は、名を新之丞、諱を貞良といい、一般には、磯丸様と呼ばれていました。半農半漁の貧しい村で育った磯丸は、31歳の時に父を亡くし、母は長年病床にありました。その母の回復を願い近くの伊良湖明神(伊良湖神社)へ日参するうち、参詣人たちが奉納額を見上げて和歌を口ずさむのを聞き、その響きに心を魅かれ歌を詠むようになりました。もともと伊良湖の一漁夫で、文字を書くことができませんでしたが、やがて無筆の歌詠みとして世間に知られるようになりました。そして隣村(亀山)に住む大垣新田藩の郡奉行井本常蔭に見出され、文字や和歌の指導を受け「磯丸」という名が与えられました。その後、吉田(豊橋)の鍼医で女流歌人の林織江が伊良湖へ紀行の際に世話をしたのが縁となり、織江の師であった京都の堂上歌人芝山大納言持豊の門人となり「貞良」の名を授かりました。

磯丸は、生涯に数万首の歌を作ったといわれています。中でも「まじない歌(呪禁歌「じゅごんのうた」)は、当時の人々の暮らし向きや磯丸像がよく表されているものです。まじない歌といっても呪術的な意識で詠まれたものではなく、家内安全・無病息災・商売繁盛など民衆の希望や困りごとなどを誠心誠意、心を込めて歌にしたものです。

多くの歌人や俳人が旅人であったように磯丸もまた旅人でした。三河各地をはじめ、三遠南信地域とのゆかりも深く、遠くは京都、伊勢、尾張、江戸などにもその足跡を残しています。また、田原藩主三宅康直侯に召されて、ともに月見をして歌を詠んだという記録もあります。

今回の企画展では、郷土において稀有の存在ともいえる漁夫歌人糟谷磯丸の関係資料を展示紹介して、その人となりや歌の世界を堪能していただこうと開催します。

期間中の催し物

講演会

6月11日(土) 午後1時30分 【入場無料】
会場:崋山会館(田原市博物館隣接)
演題:「伊良湖の歌ひじり 糟谷磯丸」
講師:安江茂氏(現代歌人協会会員、中部日本歌人会顧問)

展示解説

5月28日(土)、6月25日(土) 午前11時
・田原市博物館
学芸員による展示説明
※展示解説希望の方は観覧料が必要となります。

「家内安全歌」 糟谷磯丸筆 弘化2(1845)年 渥美郷土資料館蔵「神祇歌」 糟谷磯丸筆 弘化4(1847)年 渥美郷土資料館蔵「秋旅行歌」 糟谷磯丸筆 天保12(1841)年 渥美郷土資料館蔵
「伊良古之記」/林織江筆 文化元(1804)年/個人蔵 「磯丸詠草」/糟谷磯丸筆/個人蔵 「磯丸霊神証書」 嘉永3(1850)年/個人蔵 「辞世歌」/糟谷磯丸筆 嘉永元(1848)年/個人蔵 「富士」/糟谷磯丸筆/個人蔵 「八重襷(やえだすき)歌」 糟谷磯丸筆/個人蔵
田原市博物館 渥美郷土資料館
〒441‐3421 愛知県田原市田原町巴江11‐1
TEL:0531‐22‐1720
〒441‐3695 愛知県田原市古田町岡ノ越6‐4
TEL:0531‐33‐1127
交通案内
JR・名鉄「豊橋」駅から豊橋鉄道渥美線乗車、
「三河田原」駅下車、徒歩15分(田原城跡内)
交通案内
JR・名鉄「豊橋」駅から豊橋鉄道渥美線乗車、 「三河田原」駅下車、豊橋鉄道バス伊良湖本線乗車、「福江」バス停下車、徒歩15分(田原市役所渥美支所敷地内)