平常展 愛知やきものヒストリー2016連携展示「渥美窯 炎からうみだされた造形」

開催日 平成28年7月9日(土)〜9月25日(日)
開館時間 午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
会場 田原市博物館 二ノ丸櫓

中世渥美窯では、平安時代の終わり(12世紀初頭)から鎌倉時代(13世紀末)の約200年の間に色々な焼き物が焼かれていました。焼き物は碗、皿、鉢、壺、甕などの日常品や、瓦塔、瓦経などの宗教用具が生産され、一大生産地として栄えていました。

渥美窯の発掘調査をすると、窯が使用されなくなった後に、失敗品として捨てられた多くの山茶碗、小皿、壺、甕などを窯の中から発見することがあります。これらのものは形がゆがみ、くっつくことがあり、一風変わった形をしています。また、これらのものは人によって造形された焼き物と異なり、炎などの自然の力によって、思いもよらない形になることがあります。

今回の展示は、テーマ1では、形の整った焼き物を展示します。テーマ2では、重ね焼きをした山茶碗を中心に窯の中に置かれた状態でくっついたものを展示します。テーマ3では、窯の中で焼かれることでゆがみ、くっついたものを展示します。テーマ2、テーマ3は、炎によってうみだされ、形や色合がテーマ1と異なったものです。それぞれの違いをぜひ見比べてください。

展示作品リスト

田原市博物館二ノ丸櫓
  資料名 点数 遺跡名 時代 備考
テーマ1 小皿 2 坪沢2号窯(加治町) 12世紀前半  
小皿 2 掘山田古窯(神戸町) 12世紀末  
小皿 1 出土地不明 13世紀  
子持器台 2 坪沢2号窯(加治町) 12世紀前半  
片口碗 3 坪沢2号窯(加治町) 12世紀前半  
山茶碗 1 坪沢4号窯(加治町) 12世紀前半  
山茶碗 1 出土地不明 12世紀末  
山茶碗 1 平岩2号窯(芦町) 13世紀  
片口鉢 1 坪沢10号窯(加治町) 13世紀前半  
小型壺 3 鴫森3号窯(相川町) 12世紀末〜13世紀初頭  
テーマ2 重ね焼き山茶碗 3 竜ヶ原5号窯(赤羽根町) 12世紀末〜13世紀初頭 沢山の山茶碗が重ねて焼かれていました。炎があたる場所は自然釉がつき、崩れた窯壁が上部にくっついたものもあります。
窯壁がくっついた山茶碗 1 竜ヶ原古窯(赤羽根町) 12世紀末〜13世紀初頭? 山茶碗の上に崩れた窯壁がいくつもくっついています。
重ね焼き山茶碗 1 竜ヶ原古窯(赤羽根町) 12世紀末〜13世紀初頭? 展示品の重ね焼き山茶碗の中で特に濃く自然釉がかかり、淡い青緑色となっています。
重ね焼き山茶碗 7 惣作15号窯(大草町) 12世紀末〜13世紀初頭 山茶碗の上に小皿をのせ、重ね焼きをすることがあります。山茶碗と小皿がくっついたことにより、一緒に焼かれていることがわかります。
重ね焼き山茶碗 7 惣作古窯(大草町) 12世紀末〜13世紀初頭 表面がザラザラしているものとツルツルし、光っているものがあります。これは炎の勢いや温度によっての違いです。また、割れ口に自然釉がついているものがあり、割れた後に焼かれたことがわかります。
首が曲がった壺 1 惣作20号窯(大草町) 12世紀末〜13世紀初頭 壺が首からひどく曲がって、裏と表が逆のように見えます。
山茶碗にくっついた子持器台 1 野添原A5号窯(赤羽根町) 12世紀後半 山茶碗の上に子持器台重ね焼きされ、くっついています。山茶碗の上には小皿だけでなく子持器台も重ね焼きされていたことがわかります。
小皿にくっついた子持器台 1 野添原A5号窯(赤羽根町) 12世紀後半 山茶碗だけでなく小皿の上に子持器台が重ね焼きされ、自然釉がかかり、くっつき、一体のように見えます。
山茶碗と小皿 1 野添原A古窯(赤羽根町) 12世紀後半 山茶碗の上に重ねられた小皿が自然釉でくっつき、一体のかたまりのように見えます。
重ね焼き山茶碗 2 野添原A古窯(赤羽根町) 12世紀後半 重ね焼きした山茶碗の上部が割れて、背もたれのついた椅子のようになっています。
テーマ3 甕片にくっついた小皿 1 大沢下古窯(田原町) 12世紀第3四半期? 窯の中に置かれた状態の小皿の上に甕片がくっつき、小皿が双子のように並んでいます。
くっついた甕片 1 大沢下古窯(田原町) 12世紀第3四半期? われた甕片と甕片が扇状にくっつき、扇風機の羽根のようになっています。
甕片モニュメント 1 大沢下古窯(田原町) 12世紀第3四半期? 甕片が焼いている時にゆがみ、モニュメントのようになっています。
山茶碗と片口鉢の重ね焼き 1 夕古窯(赤羽根町) 12世紀後半? 山茶碗を乗せた片口鉢の上に崩れた窯壁がくっつき、片口鉢がゆがんでいます。
ゆがんだ壺 1 出土地不明 時期不明 炎の熱によって壺がゆがみ、元の形がわからなくなっています。
甕にくっついた山茶碗 1 富山C4号窯(六連町) 12世紀後半 焼いている途中に甕が山茶碗の上に重なり、甕の重みで山茶碗がひどくゆがみ、甕にくっついています。
山茶碗がくっついた壺 1 大草平松5号窯(大草町) 12世紀後半 壺に重ね焼き山茶碗の口縁部の破片がくっついています。くっついた山茶碗が文様のようにみえます。
重ね焼き山茶碗にくっついた壺 1 大草平松5号窯(大草町) 12世紀後半 焼台の上に置かれた重ね焼き山茶碗に壺片がくっついています。山茶碗の3枚目と4枚目が重なり一つの口縁部のようになっています。
参考 1階展示室リスト一覧
資料名 点数 遺跡名 時代 備考
大甕 1 坪沢10号窯(加治町) 12世紀末〜13世紀初頭  
大甕 1 踏分古窯(加治町) 13世紀前半  
広口壺 1 坪沢10号窯(加治町) 12世紀末〜13世紀初頭  
大甕 1 鴫森3号窯(相川町) 12世紀末〜13世紀初頭  
広口瓶 1 坪沢2号窯(加治町) 12世紀前半  
大甕 1 大アラコ2号窯(芦町) 12世紀前半  
広口壺 1 坪沢4号窯(加治町) 12世紀前半  
大甕 1 笹尾15号窯(田原町) 12世紀前半  

(展示品は全て田原市教育委員会蔵)

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