田原市博物館 平成22年夏の企画展

杉浦明平の世界「みんぺーさん」の記憶と魅力

2010年7月10日 土曜日から8月22日 日曜日まで

開館時間 午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 毎週月曜日
※ただし、7月19日は開館し、7月20日は休館します。
観覧料 一般600円(480円) 小・中学生は無料
( )内は20名以上の団体割引料金です。
主催 田原市博物館、財団法人崋山会
後援 愛知県教育委員会、NHK名古屋放送局

→ 展示作品リストはこちら

田原市博物館では、2001年に亡くなった郷土を愛した小説家、杉浦明平の回顧展を開催します。

本人写真:1997年「書斎にて」、1929年「書斎にて」 杉浦明平は、1913年(大正2年)6月9日、愛知県渥美郡福江町(現田原市折立町)に生まれた。旧制豊橋中学を経て第一高等学校に入学、「アララギ」に入会し、土屋文明に師事。東京帝国大学国文学科に進み、立原道造や寺田透らと同人誌などを創刊し、交流した。大学卒業後、イタリア・ルネサンス研究のため、イタリア語を習得、翻訳・編集の仕事に携わった。第二次世界大戦中、郷里に戻り、共産党に籍を置き、渥美町議会議員を2期務めた。その間の見聞を元に、海苔養殖業者の利権争いを『ノリソダ騒動記』というルポルタージュで発表、その後も共産党員の活動記録『基地六〇五号』、映画化もされた『台風十三号始末記』『夜逃げ町長』などの新スタイルの記録文学が評判になり、注目を集めた。1962年(昭和37年)に新日本文学会内部の対立で共産党から離れた後は、畑仕事にいそしみながら、郷土の渡辺崋山をはじめとした江戸時代の文人を取り上げた小説や評論、食べ物エッセイ、翻訳などの多分野で活躍した。『朝日ジャーナル』に連載した『小説渡辺崋山』で1971年に毎日出版文化賞、1977年に中日文化賞、1995年に『ミケランジェロの手紙』の翻訳で日本翻訳出版文化賞の特別功労賞を受賞した。

火力発電所増設反対問題を契機に、1981年からは、地元の友人たちと読書会をし、地元の同人誌への寄稿も行なっている。1989年には、1カ月に1万ページの読書をしたことで集まった蔵書の一部を渥美町図書館へ寄贈した。杉浦が亡くなり、9年を過ぎ、来年3月で10年を迎える今、現在残された手紙や原稿、発刊された本などを通し、文学・評論・エッセイなどで、人間社会を見極めた「みんぺーさん」を回顧する機会としたいと思います。

おもな出品資料

夭折の詩人、立原道造に贈った『少年歌集1931』や立原道造との心温まる往復書簡

第一高等学校、東京帝国大学時代に交流した人々からの手紙、ハガキ等

明石博隆
荒正人
生田勉
石神清
猪野謙二
小山正孝
国友則房
佐々木基一
鈴木力衛
立原道造
田所太郎
田宮虎彦
寺田透
中村真一郎
丸山真男

文壇、出版業界、映画関係、文化人との交流

岡田英次
加藤唐九郎
神田隆
北川民次
木下順二
斎藤喜博
佐藤昌介
品川力
土屋文明
野間宏
塙作楽
埴谷雄高
本多静雄
本多秋五
山本薩夫

『小説渡辺崋山』自筆原稿 渥美細胞機関紙
映画シナリオ「ノリソダ騒動記(検討用)」
「種子と畑(未完)」 渥美半島のなつかしの風景写真も展示

『未成年』『朝日ジャーナル』『太陽』『群像』などの掲載図書

杉浦明平記念文庫(田原市渥美図書館)からも貴重図書が特別に出品されます。

【アララギ】土屋文明(左)立原道造渥美半島のなつかしの風景写真

期間中の催し物

展示解説

日時:7月10日(土)・8月7日(土)午前11時から
場所:田原市博物館内(※観覧料が必要となります。)


図録販売

今回の企画展の図録を販売します。出品資料の図版が数多く掲載され、
みんぺーさんの若い頃から晩年までの写真や年譜、文献目録も掲載されています。
この機会にぜひお買い求めください。

A4版、128ページ、カラー/1色 無線綴じ 価格1,500円(税込)

少年歌集1931
水谷勇夫『小説渡辺崋山』挿絵
未完映画シナリオ「種子と畑」
福江細胞機関紙「新渥美」