渥美半島は、愛知県の最南端にあって南は太平洋、西は伊良湖水道を経て伊勢湾、北は三河湾と三方を海に囲まれており、黒潮の影響を受け、冬も温暖な常春の地として知られています。この半島に人々は、太古の昔より住み続け、より快適な生活を求めて、自然に対して様々な働きかけを行ってきました。そんな渥美半島の大部分を占めることとなった田原市は、半島の最先端にある伊良湖岬や恋路ヶ浜、日出の石門、伊良湖水道を超えて神島などの詩情にあふれ、絵心をゆさぶるような景勝地に恵まれています。また、豊かな自然環境が残された半島内には、国や県などから指定された天然記念物を始めとした数多くの文化財が存在します。こうした環境をもったこの土地には、古来より西行法師や松尾芭蕉、柳田國男など、多くの文人墨客たちが訪れ、優れた作品が残されました。
画家として有名な幕末の先覚者渡辺崋山が記した『参海雑志』の中には、田原から伊良湖、神島を巡る旅の途中で、思うままにスケッチした風景画などがあり、崋山が地元(渥美)を描いたものとして大変に貴重なものとなっています。
今回の特別展では、「渥美半島を描く」というテーマのもと、郷土に在住、あるいはこの土地にゆかりのある画家の方々、又は渥美半島の風景などを画材とした絵画作品の多くを展示紹介することによって、豊かな自然景勝地に恵まれた「田原市」に対する郷土認識を新たにしていただこうと開催します。
◆洋画
◎あらきひろみち 「なぐさ 秋」 個人蔵
◎入江光太郎 「流木」 伊良湖岬美術館蔵
◎入江 窈 「蛙岩が夕浪に鳴く」 伊良湖岬美術館蔵
◎杉浦正美 「渥美の菜畑」
◎島田卓二 「海邊の崖」 個人蔵
◎大羽梧郎 「浜へ行く道」 個人蔵
◎鈴木睦美 「伊良湖岬の春」 個人蔵
◎平井誠一 「片浜十三里・越戸海岸」 個人蔵
◎仲谷孝夫 「渥美の風景」 個人蔵
◎細井文次郎 「片濱風景」 個人蔵
◆日本画
◎浅田蘇泉 「渥美湾遠望(高木附近)」 県立福江高等学校蔵
◎伊東隆雄 「地引き網(波の音)」 個人蔵
◎田中千之 「表浜」 個人蔵
◎永井繁男 「風の日(伊良湖)」 個人蔵
◎稲垣錦荘 「渥美晩望」 個人蔵
◎樋口 暘 「夕映(立馬崎風景)」 渥美郷土資料館蔵
◎平川敏夫 「三河八景・渥美浜潮来」 小坂井町文化会館蔵
◎道家珍彦 「春伊良湖・入船」 個人蔵
◎渡会伊良子 「波涛」 個人蔵
◎森 縁翠 「渥美半島泉村石神図」 佳仙堂 石田耕治蔵
道家珍彦
「春伊良湖・入船」
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樋口 暘
「夕映(立馬崎風景)」 |
渡会伊良子
「波涛」
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◆水彩画
◎大岡澄雄 「夕照 伊良湖水道」 個人蔵
◎石川新一 「渥美半島赤羽根海岸(一色の磯)」 個人蔵
◎白神和彦 「伊良湖岬灯台」 個人蔵
◎冨安昌也 「伊良湖夕照」 東海シーエス株式会社蔵
大岡澄雄
「夕照 伊良湖水道」 |
冨安昌也
「伊良湖夕照」 |
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