指定地外の確認調査 本年度の調査は5月13日から開始し、台地の上・下でそれぞれ3ヶ所を試堀しました。台地下の0303Gでは、地表から40cm下で縄文時代の土器が含まれる地層が見つかりました。
0324T 石碑横の調査地点からは、1歳半くらいの幼児の遺体をおさめた土器を発見しました。楕円形に掘った穴に、口を西方向に向けて横に寝かせて埋められていました。ここは貝もないため、通常、骨は解けて残らないのですが、地中深く埋っていたため奇跡的に残っていたようです。頭、手足、歯が残っていました。保存状況が悪く、遺体をそのまま土器の中に入れたのか、骨の状態になったものを入れたか検討中です。
0301T 吉胡貝塚の中心部分で、貝層がもっとも厚く堆積し大正11・12年、昭和26年の調査で多数の人骨、遺物が出土した場所です。道に沿って2×4mの調査場所を設定しました。貝はハマグリ、カキ、オオノガイ、アカニシが主体です。調査区のほとんどは清野博士が発掘調査後に埋め戻した土です。その土を4mmのフルイにかけたところ、土器、石器、骨角器、動物の骨、人骨が見つかりました。人骨はすべて一部や破片、他の遺物も小さなものばかりで清野博士の発掘調査の際に取り忘れたものと考えられます。石器では石鏃、骨角器では動物の牙・サメの椎骨に穴をあけたペンダント、根バサミ、ヤスなどが見つかりました。
ここでは、貝層の分析のためにサンプルを採取しました。その際に貝層のくぼみに土器片を敷き、灰と焼けた貝を入れた遺構が発見されています。
0320T 貝塚は平成13年度に確認された人骨の周囲を広げて、埋葬の状況を確認しています。伸展葬(あお向けに体を伸ばした状態)で、手は胸に置かれています。身長は約155cmの若い女性と思われます。埋葬された穴は一部貝塚を削っていますが、貝塚が形成され、貝塚が土壌で覆われたのちに埋葬されています。左足は土器、石器(石棒、石斧)、獣骨が入った穴(SK03)で壊されています。しかし、貝塚から見つかる土器、貝塚を覆う土層、人骨を壊した穴それぞれから出土する土器は時期差がそれほどなく、短期間で遺跡の様子が変わっていったようです。
03DT 縄文時代晩期末の土器、石器を含む層が40cmほどみられました。0320Tと同様に土器の時期差はほとんどなく、短期間に土壌が形成されたことがわかりました。最下層の砂利層直上から、縄文時代中期の土器が3点発見されました。吉胡貝塚でもっとも古い土器で、吉胡貝塚の成り立ちを考えるうえでも重要な発見です。
0315T A貝塚の端にあたり、砕かれた厚さ30cmの貝層と、縄文時代後期末の土器も見つかりましたが中世(600〜800年位前)の陶器片が貝層に混じることから、この時期に一度貝塚が削られているようです。
0308T 矢崎岩東の調査区を発掘します。ここは、昨年度土器棺墓が2つ見つかったほか、マツリに使われた土偶、石棒が見つかっています。東側では、調査区北端で大形の土器片を埋設した穴が見つかり、お墓の可能性もあります。
西側では貝層の北端を確認しました。調査区内でもっとも厚いところで40cmです。ハマグリのほかアサリが多いのも特徴です。
0322T 保存が極めて良い貝層が確認されたため、貝層分析のサンプルをとりました。厚さ50cmほどでハマグリ、カキ、アカニシがみられます。獣骨、土器も豊富に含まれています。時期は縄文時代晩期前〜中葉の貝層と思われます。 |