田原市博物館/渥美郷土資料館 夏の企画展 生誕百二〇年 書聖「鈴木翠軒展」

開催日:2009年6月20日(土)〜8月16日(日)2会場にて開催

田原市博物館 代表作品を中心に展示

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休館日:毎週月曜日
※7月20日(祝)は開館、21日(火)は休館します。
開館時間:午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分)
※6月20日(土)のみ午前11時30分開館
観覧料: 一般600円(480円) 小・中学生は無料
※()内は20名以上の団体割引料金

展示作品リスト

企画展示室2
No. No.(図版) 作品名 年代 点数 所蔵先 備考
1 1 「書家寄書」(天来、翠軒ほか)   1幅 青柳堂  
2 129 書簡(渥美郡神戸村、渡邊豊吉宛)10月6日付 大正9(1920)年 1幅 個人蔵  
3 2 撥雲尋道 大正15(1926)年 1面 田原市立福江小学校  
4 4 七言絶句「金陵図」より(韋荘)   1幅 個人蔵  
5 5 茶香入座午煙歇 花影壓簾春晝閑(周権)   1幅 個人蔵  
6 6 七言絶句「清平調詞三首其一」より(李白)   1幅 個人蔵  
7 7 七言絶句「清平調詞三首其三」より(李白)   1幅 個人蔵  
8 9 七言絶句「集霊台二首之一」より(張祜)   1幅 青柳堂  
9 13 七言絶句「贈楊煉師」より(鮑溶)   1幅 個人蔵  
10 14 焼竹煎茶 昭和16(1941)年 1面 玉川堂  
11 12 七言絶句(李白)   1幅 個人蔵  
12 15 五言絶句(新井洞巌)   1幅 個人蔵  
13 19 七言絶句「泉岳寺」(阪井虎山)   1幅 個人蔵  
14 10 一呼驚八州   1幅 青柳堂  
15 20 香魚くうて唐紙かくや山吉田(翠軒) 昭和20(1945)年 1幅 個人蔵  
16 16 樹影半_明月 蟲聲一夜清秋   1本 個人蔵  
17 17 撫百姓示儀軌 開誠心布公道   1本 個人蔵  
18 18 灑扇風   1本 個人蔵  
19 8 月夜与客飲杏花下(蘇軾)   1双 個人蔵 2曲屏風
20 108 蘭亭叙(王羲之)   1冊 個人蔵  
21 109 鄭文公碑(鄭道昭)   1冊 個人蔵  
22 110 蘇孝慈墓誌銘   1冊 個人蔵  
23 111 趙子昂行書千文(趙子昂)   1冊 個人蔵  
24 115 甲種 小学書方手本 尋常科用 第一学年 昭和8(1933)年 1冊 渥美郷土資料館 国定教科書
25 116 甲種 小学書方手本 尋常科用 第二学年〜第六学年 昭和9(1934)〜13(1938)年 10冊 個人蔵 国定教科書、二学年  から上・下有
26 117 高等小学 国語書キ方手本 第一学年用〜 第三学年用 昭和8(1933)、10(1935)年 3冊 個人蔵 国定教科書
27 147 参考書(万葉集・良寛詩集・李太白詩集・般若心経講義ほか)     田原市博物館 翠軒書込有
28 148 参考書(伝紀貫之筆 寸松庵色紙、伝小野道風筆 継色紙ほか)     田原市博物館  
29 149 作品下書(一条摂政集臨書、艶容女舞衣ほか)   田原市博物館  
30 126 習字手本(はぎ、世界を結ぶ和、渡津海豊旗雲)   3面 青柳堂  
31 127 習字手本(はげしい雷鳴、桐一葉秋深く、いろは)   3枚 田原市博物館  
32 128 添削習字   3綴 個人蔵  
33 151   2巻 田原市博物館 文房、筆巻入
34 152   2面 田原市博物館 文房
35 153     田原市博物館 文房
36 154 文鎮   4個 田原市博物館 文房
37 155 水差   1個 田原市博物館 文房
38 156 肉池   2個 田原市博物館 文房
39 157 落款印(自用印)     田原市博物館 文房
40 158 座机   1脚 田原市博物館 愛用品
41 160 座布団   1枚 田原市博物館 愛用品
42 161 眼鏡   2個 田原市博物館 愛用品
43 162 万年筆・手帳・靴べら   田原市博物館 愛用品
44 163 文箱   1箱 田原市博物館 愛用品
45 164 日本藝術院賞賞牌 日本藝術院 昭和32(1957)年 1個 田原市博物館  
46 165 日本藝術院会員任命状 昭和35(1960)年 1枚 田原市博物館  
47 166 文化功労者顕彰状 昭和43(1968)年 1枚 田原市博物館  
48 167 勲三等旭日中綬章 昭和41(1966)年 1個 田原市博物館  
49 168 勲二等瑞宝章 昭和49(1974)年 1個 田原市博物館  

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企画展示室1
No. No.(図版) 作品名 年代 点数 所蔵先 備考
50 54 三條の上で逢ひけり朧月 昭和46(1971)年  1面 岡村多聞堂  
51 45 秋色遠   1幅 田原市博物館  
52 47   1幅 個人蔵  
53 48 昭和37(1962)年 1面 個人蔵  
54 60 干花又干月 相伴醉吟長   1幅 青柳堂   
55 29 七言二句「前有樽酒行」より(李白)   1幅 豊橋市美術博物館  
56 28 七言二句「奇司勳廬員外」より(李頎)   1幅 豊橋市美術博物館  
57 35 夜雨聞帰雁   1幅 個人蔵  
58 36 七言二句「九日藍田崔氏荘」より(杜甫)   1幅 個人蔵  
59 37 三界如客舎 人命似朝露(良寛)   1幅 個人蔵  
60 41 那知今夜長生殿 獨閉空山月影寒   1幅 田原市博物館  
61 42 両岸青山相対出 孤帆一片日辺来   1幅 田原市博物館  
62 57 落日臨川問音信 寒潮唯帯夕陽還   1幅 個人蔵  
63 62 片月   1面 個人蔵  
64 53 曽根崎心中 道行    1面 田原市博物館  
65 52 朝貌や惚れた女も二三日(夏目漱石) 昭和43(1968)年 1面 日本藝術院  
66 51 風吹馬馬踏雲 昭和43(1968)年 1面 日本藝術院  
67 24 禅牀夢美人 昭和31(1956)年 1面 日本藝術院  
68 72 万葉集(1-48) 柿本人麻呂歌 昭和49(1974)年 1面 田原市博物館 迎賓館所蔵作品と同作品
69 79 万葉集(4-505) 安倍郎女歌   1面 個人蔵  
70 80 万葉集(1-28) 持統天皇歌   1面 田原市博物館  
71 74 万葉集(3-253) 柿本人麻呂歌  昭和33(1958)年 1幅 田原市博物館  
72 73 万葉集(3-250) 柿本人麻呂歌  昭和33(1958)年 1幅 田原市博物館  
73 75 万葉集(3-254) 柿本人麻呂歌   1幅 春日井市道風記念館  
74 85 万葉集(20-4461) 大伴家持歌   1幅 田原市博物館  
75 77 万葉集(4-505、1-11) 安倍郎女・中皇命歌    1幅 田原市博物館  
76 84 万葉集(9−1796) 柿本人麻呂歌    1幅 青柳堂  
77 82 万葉集(3-264) 柿本人麻呂歌  昭和20(1945)年 1幅 個人蔵  
78 83 万葉集(20-4380、10-2333、20-4379)        大田部三成・柿本人麻呂・大舎人部祢麻呂歌 昭和26(1951)年 1隻 田原市博物館   
79 65 麻続王之歌 昭和36(1961)年 1幅 個人蔵  
80 66 万葉集(1-24) 麻続王歌 昭和36(1961)年 1幅 個人蔵 「万葉の歌碑」揮毫原本
81 67 万葉集(1-24) 麻続王歌 昭和36(1961)年 1幅 渥美郷土資料館 「万葉の歌碑」揮毫元原本
82 70 万葉集(1-42) 柿本人麻呂歌  昭和20(1945)年 1幅 個人蔵  
83 69 万葉集(1-42) 柿本人麻呂歌    1面 個人蔵  
84 40 桃源 昭和41(1966)年 1面 田原市博物館 碑、伊良湖岬にあり
85 39 新月未離山 昭和38(1963)年 1面 田原市博物館 碑、高野山にあり
86 98 閑雲   1面 玉川堂  
87 58 艶容女舞衣 酒屋の段   1面 個人蔵  
88 30 淡粧濃抹(蘇軾)   1面 個人蔵  
89 31 破月斜天半   1面 春日井市道風記念館  
90 32 江草不知愁(李白)   1面 青柳堂  
91 33 抱真   1面 青柳堂  
92 59 五言絶句「南陽送客」より(李白)   1面 豊橋市美術博物館  
93 90 名月や杉に更けたる東大寺(夏目漱石)   1面 個人蔵  
94 92 良寛に手毬つかせる日永哉(夏目漱石) 昭和38(1963)年 1面 田原市博物館  
95 99 關雲帯雨 昭和51(1976)年 1面 日本藝術院  
96 50 菅原傳授手習鑑 寺子屋之段 昭和41(1966)年 1面 国立劇場 展示:7月20日まで
97 100 いろは歌 昭和51(1976)年 1面 田原市博物館 亡くなる半年前の作品
98 101 黄庭経(王羲之)  昭和31年4月〜     昭和34年3月 2帖 個人蔵 題簽翠軒
99 102 黄庭経(王羲之)    1帖 個人蔵  
100 103 孟法師碑(_遂良)   1帖 個人蔵  
101 104 三十帖冊子(空海)   1帖 個人蔵  
102 91 巡礼と野辺につれ立つ日永哉(夏目漱石)   1枚 青柳堂  
103 93 同じ橋三たび渡りぬ春の宵(夏目漱石)   1枚 青柳堂  
104 94 塩辛を壺に探るや春浅し(夏目漱石)   1枚 青柳堂  
105 95 旅に寒し春を時雨の京にして(夏目漱石)   1枚 青柳堂  
106 137 葉書(天野四郎・上村軍平宛) 昭和35(1960)年    10月28日付 1葉 個人蔵 万葉の歌碑関係
107 138 葉書(天野四郎宛) 昭和36(1961)年    6月25日付 1葉 個人蔵 万葉の歌碑関係
108 139 書簡(天野四郎宛) 昭和36(1961)年    6月7日付 1通 個人蔵 万葉の歌碑関係
109 140 書簡(天野四郎宛) 昭和36(1961)年    6月26日付 1通 個人蔵 伊良湖関係
110 141 葉書(天野四郎宛)   4葉 個人蔵 伊良湖関係
111 146 年賀状(天野四郎宛) 昭和51(1976)年ほか 4葉 個人蔵  
112 131 書簡(天野四郎宛) 昭和31(1956)年    3月29日付 1通 個人蔵  
113 133 書簡(天野四郎宛) 昭和35(1960)年    2月2日付 1通 個人蔵  
114 130 書簡(原礼三ほか宛) 昭和20(1945)年    3月17日付 7枚 田原市博物館 空襲時のことを記載
115 135 書簡(濱新宛) 昭和36(1961)年    4月16日付 1巻 個人蔵  
116 136 書簡(近藤宛) 昭和47(1972)年    6月23日付 1通 田原市博物館  
117 142 葉書(青柳堂宛)   5葉 青柳堂 筆関係
118 143 葉書(増山楽道宛) 昭和30(1955)年    1月25日付 1葉 田原市博物館 城宝寺           崋山霊拝堂関係
119 144 葉書(近藤笑子宛) 昭和33(1958)年    10月1日付 1葉 田原市博物館  
120 150 写真(翠軒肖像・作品揮毫時ほか)   田原市博物館  

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エントランスギャラリー
No. No.(図版) 作品名 年代 点数 所蔵先 備考
121   翠軒先生書唐詩三體帖 昭和7(1932)年 1冊 個人蔵 刊行物
122   新講 書道史 昭和8(1933)年 1冊 個人蔵 刊行物
123   唐詩五律三首帖 昭和8(1933)年 1冊 個人蔵 刊行物
124   臨伊都内親王願文 昭和9(1934)年 1冊 個人蔵 刊行物
125   翠軒先生書談 昭和11(1936)年 1冊 個人蔵 刊行物
126   楷書前赤壁賦 一 昭和11(1936)年 1冊 個人蔵 刊行物
127   行書王維送元二使安西詩 昭和12(1937)年 1冊 個人蔵 刊行物
128   翠軒新書鑒 下 昭和12(1937)年 1冊 個人蔵 刊行物
129   風信 第四巻第一〜四、七、九〜十二号 昭和13(1938)年 9冊 個人蔵 刊行物
130   興亜新書範 上・中・下 昭和15(1940)年 3冊 個人蔵 刊行物
131   露の萩 昭和17(1942)年 1冊 個人蔵 刊行物
132   金剛山帖 昭和18(1943)年 1冊 個人蔵 刊行物
133   黄鶴帖 昭和21(1946)年 1冊 個人蔵 刊行物
134   くさまくら 昭和22(1947)年 1冊 個人蔵 刊行物
135   新楷書篇 昭和25(1950)年 1冊 個人蔵 刊行物
136   須磨帖 昭和28(1953)年 1冊 個人蔵 刊行物
137   翠軒楷書帖 昭和37(1962)年 1冊 個人蔵 刊行物

※期間中、展示を変更する場合がございます。また展示室は作品保護のため、照明を落としてあります。ご了承ください。

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鈴木翠軒(すずきすいけん)

鈴木翠軒は、明治22(1889)年1月、渥美郡堀切村(現在の田原市堀切町)に長尾久治郎の五男として生まれ、本名を春視、号を翠軒と称しました。(大正2年、鈴木た志と結婚し、鈴木と改姓)明治36年愛知県立第四中学校(現在の時習館高校)へ入学、幼少の頃より書を能くし、2年生のときには、行書千字文を愛知県主催の書道展へ出品して、表彰を受けました。明治43年愛知県立第一師範学校へ進学、翌年卒業すると、地元の福江尋常高等小学校訓導となりました。大正5年27歳のとき、懇意な医師のすすめで文部省習字科検定試験の受検を思い立ち、猛勉強の結果、その難関を一回で合格しました。
大正8年、上京して丹羽海鶴に師事し、比田井天来にも教えを受けました。昭和7年、『国定甲種小学書方手本』(国定教科書)の揮毫者となり、一切の公職を辞してその揮毫に精魂を傾注し、昭和13年に完成させました。この国定教科書の書風は、その明快な用筆と結体により絶賛され、世に翠軒流として広まることとなりました。
戦後は、昭和23年に日展の第一回審査員、昭和25年日本書作院会長などの要職を歴任し、昭和32年、「禅牀夢美人」で日本藝術院賞を受賞、昭和35年には日本藝術院会員となり、書道界の指導者としての頂点に立つこととなりました。この頃より、日本独自の仮名による作品の発表も増え、昭和41年完成の「万葉千首」は、生涯にわたる大傑作で、不朽の名作とされています。また、同年には漢字と仮名をみごとに融合させた代表作品「菅原傳授手習鑑」を国立劇場に出陳寄贈しています。その後、昭和43年文化功労者、昭和49年には、勲二等瑞宝章を受章しますが、昭和51年9月、87歳でその生涯を閉じました。

鈴木翠軒刊行物一覧
刊行物名 刊行年 刊行物名 刊行年
昭和新書鑑(上・下) 昭和6年 意呂波帖 昭和29年
唐詩三体帖 昭和7年 新説和漢書道史 昭和29年
唐詩五律三首帖 昭和8年 現代習字の手引 昭和31年
楷書早発白帝城詩 昭和8年 雑誌「青雲」 昭和31年
新講書道史 昭和9年 高校教科書「新訂現代書範」 昭和34年
臨伊都内親王願文 昭和9年 中学校教科書「現代新習字」 昭和36年
雑誌「新興日暴書道」後に「風信」 昭和10年 書人翠軒 昭和36年
翠軒いろは帖 昭和10年 翠軒楷書帖 昭和37年
楷書前赤壁賦 昭和11年 翠軒近作集 昭和40年
翠軒先生書談 昭和11年 現代新書範 昭和40年
行書王維送元二使安西詩 昭和12年 中学校教科書「現代新習字」(改訂版) 昭和40年
国定小学書方手暴 昭和13年 白妙(万葉千首完成記念 昭和41年
雑誌「懐風」翌15年廃刊 昭和14年 高校教科書「新編現代書範」 昭和47年
翠軒新書鑒(上・下・上級用) 昭和15年 変体がな 昭和49年
興亜新書範(上・中・下) 昭和15年 米寿記念作品集 昭和50年
剪燭帖 昭和15年 白妙拾遺 昭和52年
川谷尚亭碑文稿 昭和16年 翠軒いろは 昭和53年
露の萩 昭和17年 翠軒黄庭経 昭和54年
仁山帖 昭和17年 翠軒集字聖教序 昭和55年
金剛山帖 昭和18年 鈴木翠軒の書 昭和58年
黄鶴帖 昭和18年 郷土の書聖 鈴木翠軒展 昭和59年
いろは新帖 昭和18年 翠軒書翰集 平成元年
人磨三十一歌 昭和18年 玉葉集(翠軒十オ回忌記念出版) 平成4年
個展作品集「剪燭庵流萍集」 昭和18年 翠軒一條攝政集(一) 平成6年
李白三首帖 昭和22年 翠軒一條攝政集(二) 平成7年
くさまくら 昭和22年 翠軒書譜(翠軒生誕百十年) 平成10年
書道講習会手本 昭和24年 翠軒李詩 平成11年
新楷書篇 新時代範書 昭和25年 翠軒雁塔聖教序 平成12年
現代書範(上・中・下) 昭和27年 翠軒伊都内親王願文 平成13年
中学校教科書「現代習字」(上・中・下) 昭和28年 翠軒伊闕佛龕碑 平成14年
小学校教科書「新書き方」(上・中・下) 昭和28年 翠軒三十帖冊子伝橘逸勢書 平成15年
申磨帖 昭和28年 翠軒玉版洛神賦十三行 平成16年
翠軒作品集 昭和28年 翠軒集字聖教序 平成17年

※田原市博物館夏の企画展「生誕120年 書聖 鈴木翠軒展」 平成21年刊行

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